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大久野島。一周約4km、定住者は無しの小さな島。
 
日清戦争の頃から、軍港・呉を守るための要塞として軍用地となった。 
1929年から、毒ガスの製造工場が建てられると、機密的な問題で、地図から抹消された。 
まさに、ここは地図から消された島なのだ。
 
  
 
この建物は発電所跡。島内では唯一残存している建物だ。敗戦直前には、ここにおいて、女子学徒動員による風船爆弾の製造も行われていたらしい。
 
  
 
ぞっとする。 
人を殺すことを厭わなくなった、当時の国民性に。
 
  
 
戦争に勝つという希望を強制されていた俗世。
 
  
 
きっと、狂気が国に溢れていたんだろう。
 
  
 
そんな洗脳と狂気が満ちあふれていたされた人たちが働いていた建物。その朽ちた美学に洗脳された奴が、今日もまたこの島に独り。
 
結局私もまた国に洗脳されているのかも知れない。
 
  
 
ただ風の音と、時折汽船の通る音。その音以外、何も感じる必要がなかった。
 今自分がここにいることさえも。
 
  
 
一回外へ出てみた。先ほどとは反対側だ。
 
  
 
樹齢どのくらいだろう、桜が咲いている。何も知らない振りをして、それでも桜は咲いている。
 
6、70年前も、空色はこんな色だったんだろうか。 
教えてくれる人はもうこの島にはいない。
 
  
 
割れた硝子。
 
  
 
ここじゃあかくれんぼもできない。
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