その1

埼玉県秩父市 2008年1月下旬


あれは、いつだっただろう。小学校5年生の時だっただろうか。

当時愛読書だった、とある廃線本おいて出会った、あの唯一無二の憧憬…

いつしかそんなことも忘れてしまい、大人になった。


10年後

それをひょんなことからある時ふと思い出してしまい、

いてもたってもいられなくなり、車を奥秩父へと走らせた。


参道を降りると、明らかに不自然な分岐を見つけた。
明らかに自然地形ではない。道である。
それも、その道が廃と化してからしばらく経っている。


脇には石垣が積んであった。
この石垣の積み方、少なくとも戦争よりは昔の積み方ではなかろうか。

この道が目的地へと続いていると確信した。


砂防ダムを越えると、いよいよ現れた。

80年弱、彼はずっとここにいる。
約35年で使命を終えても、ずっとここにいたまま。


集札口。
参拝客で昔は賑わっていたんだろう。


天井はレトロ。
あまり人が来ないせいか、保存状態は恐ろしくよい。














そして、あの憧憬が、現実となる。

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