福島県郡山市 2008年5月上旬



君を僕から消したいから、僕はここに来た。

青空が、今日は妙に憎い。








やっぱ、心は隠しておくべきだったんだ。

この塞がれた窓のように。








硝子の突端で抉られたようなこの心の傷。

誰も気付かないまま、僕の前で笑う。








誰の笑顔も見たくないから、僕はここに来た。

ここなら、誰一人笑うことはない。








ここなら、誰からも愛されることはない。

愛される必要もない。








ここなら、時を止めて、そのままでいられる。

焦燥に追われることもない。








ここなら、誰を傷つけることもない。

傷つくこともない。








ここなら、誰にも気付かれない。

僕から気付くこともない。








ここなら、君に会うこともない。

永遠に。








君を僕から消したいから、僕はここに来た。








消そうとしたら、なぜか、僕も消えそうになった。









あの頃には、還れない。







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